COLUMN

コラム

シェルモールドと中子の製造の流れ・利点欠点をわかりやすくご紹介

シェルモールドと中子製造の流れ・利点欠点

シェルモールドの中子は、自動車や水栓金具など多くの産業において広く活用されている技術です。普段はあまり意識することは少ないですが、実は様々なものづくりに欠かせない工法なのです。そんなシェルモールド法について、詳しく知りたいという方も多いのではないでしょうか。

そこでこちらでは、シェルモールド法についての解説と製造の流れ、さらに利点と欠点についてもご紹介します。自社の設計仕様に沿って、中子の製造を依頼したいと考えている方の参考になること間違いなしなので、ぜひ参考にしてみてください。

【シェルモールド法】中子製造なら岐鋳へご相談を

シェルモールド法は、鋳造工法の種類の一つですが、具体的にどのような方法なのかと疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。次の項目では、シェルモールド法についての基礎的な知識の解説と併せて、中子製造の流れについてもご紹介します。現在、中子製造を検討しているという方にとっては見逃せない内容ばかりです。

シェルモールド法とは?中子製造の知識

積み重ねた本と電球のイラスト

シェルモールド法は、1944年にドイツのJ.クローニング博士によって発明された精密鋳造工法の1種です。博士の氏名から名前を取って、クローニング法、Cプロセスという名称で呼ばれることもあります。

シェルモールド法では、シェル中子と呼ばれる砂型を使用します。このシェル中子は、1952年にアメリカにおいて発表されたRCS(レジンコーテッドサンド)という、特殊な樹脂でコーティングされた砂を使用しており、中空の構造を必要とする部品の製造において広く利用されています。鋳型にシェル中子を設置した後に溶解した金属を流し込むと、砂型を硬化させていたRCS(レジンコーテッドサンド)が熱によって溶けて、砂へ戻ります。その砂を取り除けば、鋳物に空洞ができるという仕組みです。

また、シェルモールド法の特徴は以下のとおりです。

  • ほとんどすべての材料で鋳造が可能である
  • 低コストで製造できる
  • 自動車部品や水栓金具など、部品の大小を問わず広く用いられている

シェルモールド法が適用される以前は、中子には粘土を使用した焼型や乾燥型、油砂型などが用いられていましたが、鋳物の品質としては優れた出来ではありませんでした。そのような状況下で、画期的なシェルモールド法が発明されたことにより、産業界において革命的な進歩がもたらされたのです。

ちなみに、日本においては1953年に東洋工業株式会社(現在のマツダ株式会社)がRCS法を技術として導入しており、自動車産業の発展のきっかけを作りました。

現在もなお、シェルモールド法は鋳造技術の分野において、重要な工法の一つです。小ロット、低コストでの生産が可能でありながら、優れた品質を確保できるため、製品の製造方法として最適なのです。

シェルモールド法を用いる中子製造の流れ

シェルモールド法を用いる中子製造の流れをご紹介

シェルモールド法において使用される砂型の製造には、ダンプ方式とブロー方式の2つの種類があります。それぞれの具体的な製造過程は以下のとおりです。

ダンプ方式
  • ダンプボックスにRCS(レジンコーテッドサンド)を入れる
  • 加熱した金属製の模型でフタをして、ボックスを反転させる
  • 重力でRCS(レジンコーテッドサンド)が落下して、模型の形に沿ったシェル硬化層が作られる
  • 再びボックスを反転させると、模型にはシェル硬化層のみが残る
  • 模型を取り外して、シェル硬化層を取り外せば、シェルモールドが完成する
ブロー方式
  • 250~350℃程度に加熱した金型に、空気圧を利用してRCS(レジンコーテッドサンド)を吹き込む
  • シェル硬化層の厚みが、規定まで形成されるのを待つ
  • 金型を反転させて、未硬化の砂を排出すれば、シェルモールドが完成する

現在では、ダンプ方式と比べてブロー方式が主流の中子製造として利用されています。RCS(レジンコーテッドサンド)は、流動性が高く乾態という特性があるため、複雑な形状であっても高い精度での鋳型製造がしやすいことがポイントです。

また、ブロー方式を利用した中子製造においては、以下のような注意点もあります。

  • 金型の温度分布があまりばらつかないようにする
  • 金型の温度を上げ過ぎないようにする
  • 0.1~0.3MPaの圧力で吹き込むようにする
  • 中子のシェル硬化層が厚くなり過ぎないようにする

このように、中子の製造はいくつもの注意すべきポイントがあるため、高い技術力のある製造会社でなければ対応が難しいです。しかし、低コストかつ小ロット生産が可能であるなど、大きなメリットがあります。そのため、部品の製造見積もりを出す際は、技術力や実績をよく確認した上で依頼しましょう。

【シェルモールド法】中子製造なら岐鋳へ!利点欠点をご紹介

中子製造において高い技術力を持つ岐鋳が、中子の利点と欠点についてご紹介します。自動車のエンジンや部品などの大物から、蛇口や水栓金具といった小物の鋳物まで、中子を利用したシェルモールド法は幅広い産業において活躍しています。その利点と欠点を詳しく知れば、自社の製品に適用できるかどうかの大きな判断材料になることでしょう。

【中子製造】シェルモールド法の利点

シェルモールド法の利点について

シェルモールド法の利点としては以下のポイントが挙げられます。

中子の場合
  • 流動性が高く乾態のRCS(レジンコーテッドサンド)を使用しているため、複雑な形状でも造形しやすい
  • 中空中子の造形が容易にできる
  • 生砂型への混入量が少ないため、品質に及ぼす影響を最小限に留められる
鋳型の場合
  • 鋳型の強度劣化がほぼないため、長期間の保存ができる
  • 鋳型強度に優れているため、長距離の輸送に対応できる
  • 再生させた生型余剰砂を、RCS(レジンコーテッドサンド)骨材へ使用できる

これらのポイントの中でも特筆すべき特徴は、中空中子の造形が簡単にできるという点です。これは、ブロー方式においての中子製造で利用される、反転排砂方式の効果によるもので、シェル硬化層を薄い状態で造形できるのです。

続いて、薄いシェル型について掘り下げて解説しましょう。中子の場合は鋳物がはっきりとした輪郭になる、鋳型の場合には高い寸法精度で製造できる、表面が美しく仕上がるなどのメリットがあります。

また、薄い砂型であることのメリットは他にもあります。それは、使用する砂の量を減らして、低コストに抑えられるというものです。また、RCS(レジンコーテッドサンド)は乾態であり、適切な環境下では無期限の保存が可能であるため、必要量を適宜使用できます。

シェルモールドはその利便性から、大量生産を必要とする自動車産業はもちろん、小ロット生産の小物の鋳造でも利用されています。これから自社の製品に関する見積もり依頼をするのであれば、中子・鋳型を利用するシェルモールド法を候補に入れてもよいでしょう。

【中子製造】シェルモールド法の欠点は?

円で囲んだ疑問符

多くの利点を持つシェルモールド法ですが、以下のような欠点もあります。

  • 金型を250~350℃程度に加熱する必要がある
  • コールドボックス法と比べると、造形の速度が少し遅い
  • RCS(レジンコーテッドサンド)を再利用するためには、特殊な処置設備が必要である
  • フェノール樹脂からガスが発生して、臭気が発生する
  • 作業環境や材料配合によっては、ピールバックが生じる可能性がある

ピールバックとは、シェル硬化層の厚みが不十分なことを指し、その状態では鋳造時に中空中子が破損することもあります。そうした事態を防ぐために、外気温や砂の種類、砂の温度など様々な条件を揃えた上で、製造することが必要です。

また上記の項目から、金型の加熱を必要とすることによる弊害について、ピックアップしてみましょう。その内容は以下のとおりです。

  • 加熱のためにエネルギーを要する
  • 木型、樹脂型が利用できない
  • 金型の均一加熱には技術を要する
  • 金型の迅速な交換が難しい
  • 造形後の中子が高温である
  • 造形時は熱疲労を伴う

しかし、これらの欠点はいずれにしても製造時においての内容ともいえるため、製品の製造依頼をする発注者側にとってはあまり関係がありません。優れた実績のある工場であれば、これらの欠点をカバーする技術力や設備が整っており、安定した品質での中子製造が可能です。

国内のものづくりの現場においては、品質・コスト・納期、いわゆるQCDが大切な要素として掲げられています。この中のどれが欠けても、納得のいく製品は生まれないため、上手くバランスを取った上での製造計画は必須です。

例えば、製品試作を複数作った上で比較検討したいという場合も、低コストで製造できるシェルモールド法であれば安心です。中子製造に関して見積もりを検討しているのであれば、ぜひ岐阜県山県市に会社を構える岐鋳までご相談ください。水栓蛇口やバルブなどの水栓金具を製造しております。小ロット生産に対応しているからこそ、他社では依頼がしにくい少量の製造も可能です。

シェルモールド法で小ロット&低コストの中子製造に対応!岐鋳へ見積もりを

中空中子の造形が容易であるといった、様々な利点を持つシェルモールド法は、いまやものづくりにおいて欠かせない技術の一つです。その利点や欠点を押さえた上で、シェルモールド法を活用することが大切です。

岐鋳は、水栓金具の中子製造に特化して製造しております。大物をメインに扱う大手と違い、小回りの利くメーカーとして、小ロット生産にも対応している点が大きな強みです。安定した品質の中子の発注を検討しているという方は、ぜひ岐鋳へご相談ください。お見積もりの他にも、ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

シェルモールド法で小ロット&低コストの中子製造に対応!岐鋳までお問い合わせください

会社名 岐鋳(ぎちゅう)
代表者 屋敷 吉秀
住所 〒501-2115 岐阜県山県市梅原965
TEL 0581-27-0092
FAX 0581-27-0093
営業時間 9:00 - 17:00
定休日 土曜・日曜・祝日
事業内容 鋳造用シェル中子製造
駐車場 会社前に駐車場がございますので、そちらへお停めください。
URL https://gichu-nakago.com/