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【シェル中子の製造】中子の基礎知識!種類と使われ方・鋳造を解説

シェル中子の製造の基礎知識&使われ方を解説

シェル中子の製造依頼をしたいものの、どういう仕組みなのかと疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。シェル中子は、水道周りの金具や車の部品、鍋、フライパンといったものまで、様々な製品づくりに役立てられています。ものづくりをする上で利便性の高いシェル中子を活かしたいという方は、こちらで解説する基礎知識をぜひ参考にしてください。さらに、シェル中子の種類や実際の使われ方も解説します。基本を知ることで、製造依頼をする際にスムーズに進めることができるでしょう。

【シェル中子製造をお考えの方へ】中子の基礎知識

シェル中子は、一体どういう構造をしているのかと気になる方も多いのではないでしょうか。シェル中子はその役目を果たすと取り除かれて無くなるため、人々の目に触れる機会はほとんどありません。しかし、ものづくりにおいては非常に重要な役割を果たしているのです。

この項目では、岐阜県山県市にある岐鋳が、シェル中子の基礎知識についてご紹介します。現代の工業シーンにおいて、なくてはならない技術の一つであるシェル中子について知れば、今後の部品製造の選択肢として取り入れやすくなります。

シェル中子の製造なら!シェル中子とは

シェル中子について

シェルモールド(シェル中子)とは、1944年にドイツのヨハネス・クローニング(J.Croning)博士が発明した鋳造方法で、中空構造の部品を製造できるのが大きな特徴です。大量生産を目的に編み出された製造方法で、品質を維持しつつ、低コストでの生産が可能です。

中子は芯やコアと呼ばれることもあり、内部に空洞のある鋳物を製造する際、空洞にあたる部分として鋳型の中にはめ込まれる砂型を指します。この砂型をセットすることで、金属を鋳型に流し込んだ際に、そのまま空洞としてかたどられるのです。鋳造工程の終盤で砂型を除去すれば、中空構造を備えた鋳物が完成します。

製造工程は、主に以下のような流れです。

  • 砂充填
  • コア形成
  • 反転排砂焼成
  • 中子取り出し
  • 仕上げ

まず砂充填の工程では、約280~300℃に熱した2つの金型の間に、砂を詰めます。なお、この砂は、樹脂でコーティングした特殊な加工を施したものであり、RCS(レジンコーテッドサンド)と呼ばれます。RCSを用いた造形法では、金型を一定時間加熱硬化させ、型を反転させて硬化していないRCSを排出した後、金型を元に戻して再び加熱硬化させ、押出しピンで取り出せば中子が完成します。

元々は大量生産を目的に発明された工法ですが、低コストで優れた品質のものを生産できることから、現在では小ロットの製造現場においても広く活躍しています。

シェル中子の製造なら!中子の種類

中子の種類をご紹介

中子は鋳造において用いられる特殊な砂型のことですが、そんな中子を使用した鋳型は主に、以下4つに分類されます。

生砂型

生砂型は最も古くから用いられてきた造型法で、天然珪砂に一定量の粘土や炭素粉末を混ぜた鋳型材料を使用します。設備費が低コストであるというメリットはありますが、強度が劣るため大物の鋳型には不向きというデメリットもあります。

熱硬化型中子

熱硬化型中子は、シェルモールド法とも呼ばれる熱硬化性樹脂を使用した造形方法です。RCSという粘結材を添加した珪砂を使用して、中子を形成します。排砂時、RCSと軟化層の部分が排出されて、中子の厚みが失われることをピールバックといいます。そのため、中空構造の中子を製造する場合、砂の種類やレジンの種類、外気温など複数の条件を鑑みて、ピールバック対策を施すことが重要となります。

また、シェル中子は水分を含まない乾いた状態であるため、長期間の保存ができます。さらに、鋳型強度が高く長距離の運搬にも耐えることから、他工場でも予備成形できるというメリットもあります。納期厳守の製造現場においては、複数の工場でシェル中子を保有することで、品質を保ちながら安定的な生産を行うことが可能です。

自硬性型中子

自硬性型中子とは、配合材料の化学反応で中子の強度を上げるという方法です。有機系のフラン樹脂をバインダー(結合させる役割を持つもののこと)として用いる方法が代表例として挙げられます。樹脂添加量が少ないため、強度が求められる大物の鋳型にも適用できるメリットがあります。デメリットは、砂に含まれている不純物、気温や湿度などの環境条件によって強度や硬化速度に差が出やすいこと、注湯後の悪臭が発生することです。

ガス硬化型中子

ガス硬化型中子とは、水ガラスと天然珪砂を混ぜ合わせて造型した後、炭酸ガスを加えて中子を硬化させる造型方法です。メリットとしては、設備費が低コストであることや中子の乾燥時間を省けることなどが挙げられます。

上記の中子の種類のうち、シェル中子は中空構造、薄肉構造を造型しやすいことから、大量生産はもちろん小ロット生産にも向いています。砂の再生利用が可能で低コストでの生産ができるため、納期までに複数の試作品を製造しなければならないような場面でも活躍します。中子の生産を専門の会社へ依頼する際は、見積もり段階からどの造型方法の中子を製造できるのか確認することをおすすめします。

岐阜県山県市に会社を構える岐鋳では、水栓蛇口やバルブの鋳造に欠かせない部品を製造しております。お客様の様々なご要望に合わせて、ご満足いただける製品づくりに取り組んでまいりますので、まずはお気軽にご相談ください。また、岐鋳では求人募集も行っており、求職者の方は応募資格不問で誰でもご応募いただけます。未経験者の方も大歓迎ですので、お気軽にお問い合わせください。

【シェル中子製造をお考えの方へ】使われ方と鋳造

実際どのような製品にシェル中子が使用されているのか、気になる方も多いのではないでしょうか。次の項目では、中子を使った製品の例に加えて、シェル中子の鋳造に関してさらに深堀りして解説します。いまや工業製品を製造する上で欠かすことのできないシェル中子の魅力に、さらに迫ってみましょう。

シェル中子の製造なら!中子の使われ方

鋳造時に使用される部品

シェル中子は、主に以下のような製品や部品の鋳造時に使用されています。

  • 自動車部品
  • 建設機械部品
  • 工作機械部品
  • 電気機器部品
  • 農機部品
  • 鋳鉄管
  • フライパン、鍋
  • 水道管
  • 水栓金具

また、自動車部品についてさらに詳しく見ると、具体的には次のような部品において使用されています。

  • ターボ部品
  • 吸気・排気系部品(マニホールドなど)
  • ブレーキ部品(ディスク、キャリパーなど)
  • エンジン部品(エンジンブロック、シリンダーヘッド、カムシャフトなど)
  • 動力伝達装置部品(トランスミッション、ディファレンシャル部品など)

さらに、水栓金具の部品では、蛇口やバルブなど生活に必需となるものづくりにおいて利用されています。

これだけ多くの工業製品の製造現場で利用されていながら、シェル中子が人々の目に触れる機会はほとんどありません。鋳物の中に空洞をつくるために使用された後は、除去されてしまうためです。シェル中子は砂に樹脂をコーティングしたRCSの砂型であり、中子をセットした鋳型に金属を流し込むと、その熱によって砂型は硬化状態から砂へと戻ります。主型砂やRCSは再生処理をして、再利用が可能なため、小ロット製造も可能です。

シェル中子の製造なら!シェル中子の鋳造

電球のイラスト

シェル中子は、これまで多くの工業製品の製造現場で、ものづくりを支えてきました。シェル中子を用いた鋳造には以下のような特徴があります。

  • 中子の長期保存ができる
  • 高温強度が高く割れやスクワレなどの欠陥が発生しづらい
  • 乾いた状態で流動性が良いため、複雑な形状でも簡単に充填、造型できる

1944年にドイツで発明されたシェルモールド法ですが、日本では1956年に日本シェルモールド協会が発足されました。そして、国内におけるシェルモールド法の独占的特許実施権を取得のもと、そのノウハウは広まりました。協会の発足当時は、26社の会員でしたが、その15年後には500社を超える会員数となったことからも、発展の度合いがわかります。

なお、1956年に導入されたシェルモールド法の関連特許8件は、1971年9月に期間満了。1972年にはRCSの特許期間も満了となっています。その後、現在に至るまで、シェル中子を使用したシェルモールド法は様々なものづくりを支えてきました。

一般に、製造現場においてQCDは重要な要素です。QCDとは、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の頭文字で組み合わされた言葉で、工場を運営する上でどの要素も欠かすことはできません。品質を維持しつつ、低コストで製造を行い、納期に間に合うようミスのないものづくりをすることが、シェル中子を利用した鋳造なら可能です。部品製造の見積もりを依頼する段階で、この品質・コスト・納期の要素を見据えて製造会社を選定しておけば、その後のスケジュールもスムーズに進むことでしょう。

鋳造用シェル中子の小ロット製造も対応可能!岐鋳でぜひお見積もりを

シェル中子を利用した鋳造は、中空構造を必要とする部品づくりにおいては欠かせない製造方法です。普段はあまり意識することはないかもしれませんが、身の回りには実にたくさんのシェル中子でつくられた製品があるのです。

岐阜県山県市にある岐鋳では、鋳造用のシェル中子をメインに製造しております。水栓金具などの小物に特化して製造しているため、大物をメインに扱う他社では難しい見積もりも、お気軽にお見積もりいただけます。また、岐鋳では小ロット製造も可能であるため、お見積もり時に納期などのご要望と併せてぜひお聞かせください。全国の法人で、シェル中子をお考えの方は、ぜひお気軽に岐鋳までご相談いただけますと幸いです。

小ロット製造も対応!シェル中子をお考えの方は岐鋳までご相談ください

会社名 岐鋳(ぎちゅう)
代表者 屋敷 吉秀
住所 〒501-2115 岐阜県山県市梅原965
TEL 0581-27-0092
FAX 0581-27-0093
営業時間 9:00 - 17:00
定休日 土曜・日曜・祝日
事業内容 鋳造用シェル中子製造
駐車場 会社前に駐車場がございますので、そちらへお停めください。
URL https://gichu-nakago.com/